お墓の歴史と変化
お墓はどう変わったのか
お墓の形状、埋葬方法までが多様化している要因についてまとめる。
血縁のたて系列からよこの人間関係へ
人々は「家」や「先祖」ではなく今ある「家族」やその先にある「未来」を意識するようになった。顔がわからない先祖と一緒のお墓に入ることより、お墓参りのしやすさなどを考慮して、居住地から利便性が高い場所に新たなお墓を作る人が増えている。また、生前にお墓を作る(寿(じゅ)陵(りょう))人も少なくない。地域によっては寿陵の割合が70%以上の霊園もある(石松年HPより)。先祖を思いお墓を作るのではなく、生きている自分が自分の未来の死のためにお墓を作っている。それぞれの人の現状に対応して、生前の意志、個性に応じたお墓のあり方が求められている。
ライフスタイルの変化
一般的な先祖代々の墓地の使用権者は世帯主や戸籍筆頭者、跡継ぎ、居住地や出身地、先祖の墳墓であることが定められている場合が多い。しかし、現代社会においては、未婚者が増加し、単身者や子どものいない夫婦、離婚したシングルマザーなど墓地の使用権者に該当しない属性の人が増加している。使用権者になれない属性の人に対応するため、夫婦墓(ぼ)や家族墓(ぼ)、又はお墓を持たない埋葬方法の需要がますます増加していると考えられる。
企業精神や団結力の象徴
会社の経営者や会社に貢献された物故者(ぶっこしゃ)(亡くなられた方)を祀るために企業が所有している供養塔(企業墓)(図11)がある。会社に多大な影響を及ばした人やお得意様を供養する(傍系供養)の役割も持っている。起源は江戸時代に旅籠や商店が石碑を建て、供養ができない奉公人や客を祀ったことだといわれている。企業墓を持つことが一種のステータスであり、企業力の象徴として建立する企業も少なくない。建立の全盛期はバブル崩壊前だったが未だに建立を望む企業は多い。

